毎年インフルエンザウィルス・ノロウィルス・SARSなどによる感染症が懸念されます。 それぞれのウィルスに対して有効な消毒剤を整理しました。
インフルエンザウィルスの消毒: 消毒用エタノールやイソプロパノールのようなアルコール塩、次亜塩素酸ナトリウム、ヨードホールなどのヨウ素系、塩化ベンザルコニウムなどが有効とされています。また、ウィルスの感染性は75℃・1分間の加熱によっても失われます。 厚生労働省から勧められている消毒法は次の通りです。 手指消毒:速乾性擦式消毒用アルコール製剤 環境:次亜塩素酸ナトリウムで清拭(0.05~0.5w/v%濃度)。70%イソプロパノールあるいは消毒用エタノールで清拭。 器材:80℃・10分間の熱水消毒。0.05~0.5w/v%次亜塩素酸ナトリウムで清拭または30分間浸漬。2w/v~3.4w/w%グルタラールに30分間浸漬。0.55w/v%フタラールに30分間浸漬。0.3w/v%過酢酸に10分間浸漬。70%イソプロパノールあるいは消毒用エタノールで清拭または浸漬。 ※新型インフルエンザウィルスと従来型インフルエンザウィルスの消毒剤抵抗性は同じであると考えられています。
ノロウィルス: 消毒剤感受性試験では、約80%エタノールで約2~3Log減少し、0.1%次亜塩素酸ナトリウムで5Log減少や0.5%グルタラールでは5Log減少したという報告があります。ノロウィルスは、10~100個程度でも感染の可能性があるので、エタノールでは効果は不十分であり次亜塩素酸ナトリウムやグルタラールが有効と考えられます。また、加熱(消毒対象物が85℃・1分以上になる条件)が有効とされています。
SARS: サーズコロナウィルスについては、75%エタノールや2%フェノールなどで室温5分間の接触が有効とされています。また、グルタルアルデヒド、次亜塩素酸ナトリウム、消毒用エタノール、ヨウ素系消毒剤のような広域消毒剤の使用が勧められています。
薬局で市販されている代表的な消毒剤(商品名)は次の通りです。 アルコール系の消毒剤:消毒用エタノール 次亜塩素酸系の消毒剤:ピューラックス、ミルトン 塩化ベンザルコニウム:逆性石ケン、オスバン ※これらの中には比較的使用期限が短いものもありますので使用の際は確認しましょう。
~薬剤師 鳥居英勝~