ラクトフェリンは、哺乳動物の乳に多く含まれる多機能タンパク質。人間の母乳では、特に初乳に多く含まれています。鉄イオンと結合する性質があることから、ラクト(乳)フェリン(鉄)と名付けられました。
ラクトフェリンは、「内臓脂肪を低減させる効果」を持つとされており、健康的な食習慣を無理なく長続きさせてくれるサポーターとして注目されています。また、「腸内環境を整える」作用も明らかにされており、悪玉菌の増加による便通の乱れ・大腸の病気・ガン・アレルギー・免疫力低下を改善する働きが期待されています。さらに、小腸で免疫細胞を刺激して、体内でアレルギーの要因となる物質を発生しにくくする機能があるとされており、花粉症などの改善も期待されています。加えて、アレルギー要因物質が体内に侵入するのを防ぐ働きもあり、これにより花粉やハウスダストなどによるトラブルを軽くできるとされています。
こんなうれしい機能を持つラクトフェリンですが、通常の食事で摂るのは非常に困難な成分です。ラクトフェリンは搾りたての生乳に多く含まれていますが、熱に弱く壊れやすいので、加熱殺菌される過程でほとんどが失われてしまいます。しかもラクトフェリンは胃酸や酵素にも弱いため、食べ物として口から摂取しても消化の段階で破壊されてしまい、効率よく吸収できません。そのため、ラクトフェリンは「胃酸で溶けずに腸で溶けるように設計されたサプリメント」で摂るのが良いでしょう。
☆ラクトフェリンの多彩な機能☆抗菌・殺菌作用/病原性大腸菌やO-157、ブドウ球菌、ピロリ菌などは、鉄分がなければ生きていけません。ラクトフェリンは鉄イオンと結びつく性質があるので、これらの有毒な細菌から鉄分を奪い、菌の増殖を抑えて死滅させる働きがあります。骨量増強/エルダー世代の女性が気になる「骨粗鬆症」。ラクトフェリンには骨量を増やす働きがあることがわかっています。歯周病菌の毒素対策に/いまや成人の80%がかかっているともいわれる歯周病。歯周病菌への抵抗力は、年齢を経るごとに低下していきます。ラクトフェリンは歯周病菌が生成する毒素を解毒して歯周の健康を保つ働きがあります。エイジングケア/活性酸素が過剰に増えると、細胞を傷つけることがわかっています。ラクトフェリンはこの活性酸素を抑える作用があり、正常な細胞が傷つけられないように働くので、エイジングケアに役立ちます。免疫細胞の活性化/生後間もない赤ちゃんが元気に育つための免疫力は、お母さんの初乳に含まれるラクトフェリンが関係しています。最近の研究では、免疫力の要である「NK細胞」をラクトフェリンが活性化させることも確認されています。
~薬剤師 鳥居英勝~