花粉症は、花粉が原因で起こるアレルギー性炎症です。主なものは花粉によるアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎ですが、咽頭炎、喉頭炎、皮膚炎、ぜんそくなどが出る場合もあります。また花粉以外にも、ダニ、カビ、ペットの毛などがアレルギー性鼻炎の原因になります。
その機序は、外部から侵入してきた抗原(花粉)に対し、人体はIgE抗体と呼ばれる抗体をつくって対応し、抗原との接触を繰り返すうちにこのIgE抗体は内部をヒスタミンなどで満たした肥満細胞の表面に蓄積されていきます。この蓄積が一定の水準に達した状態で再び花粉が体内に入ると、抗原とIgE抗体が結びつき肥満細胞内のヒスタミンが流出して花粉症の症状が出現します。
この症状はを緩和する働きを持った薬には、ヒスタミンなどの化学伝達物質の遊離を抑制する抗アレルギー薬や、ヒスタミンを拮抗的に阻害する抗ヒスタミン薬があります。前者は処方箋薬ですが、後者はほとんどの市販薬に含まれています。抗ヒスタミン薬は、花粉症に対して即効性がありますが、眠気とノドの乾燥が起こりやすく、長期間継続的に内服する場合は注意が必要となります。
以上のことから抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬は、花粉症に対して本格飛散が始まる2~4週間前に用いることで重症化を防止することが可能となるとされています。また途中で休薬せずに花粉飛散が少なくなる時期まで継続することが望ましいとされています。
~薬剤師 鳥居英勝~