しもやけは正式には「凍そう」といいます。昔は良く見られた疾患でしたが、最近ではあまり見かけることはなくなりました。

しもやけの主な原因は、寒冷刺激の反復です。動脈と静脈は温度の感受性反応に差があります。寒冷によって動脈と静脈はともに収縮しますが、動脈が加温によってすみやかに拡張するのに対し、静脈は比較的長時間収縮したままとなります。急激な温度変化に末梢血管の収縮拡張が追いつかないため、急速に浸出液が組織に出て、うっ血、炎症が起こります。これがしもやけです。体質、栄養状態、生活環境、副交感神経の緊張なども関与しています。近年はほとんど見られなくなりましたが、その背景には栄養状態の改善、衣類の防寒機能の向上、暖房設備の充実などの生活環境の影響が大きく関わっています。

しもやけの症状として、学童はうっ血性の浮腫、成人は湿潤性紅斑が良く見られます。好発部位は循環障害が起こりやすい末梢部で、手足の指先、鼻の頭、耳たぶに起こりやすく、温まるとかゆみが増します。厳寒期よりも初冬や初春に起こりやすい傾向があります。

治療には、ステロイド外用剤の塗布、ビタミンE剤などの血管拡張剤の内服を行います。漢方薬も有効です。また、寒冷刺激を避け、患部の保温、乾燥に努めることも大切です。 

       ~薬剤師 鳥居英勝~