放射性物質による内部被曝を考える際に、放射線が体内でどのようにして細胞を侵すかを知っておく必要があります。化学的なことは割愛して簡潔にいうと、現象としては『放射性物質が体内の水分と反応して活性酸素を発生させ、その活性酸素が細胞及びDNAを損傷する。』ことが起こります。これが、放射線による被害の源です。
予防のためのポイントを整理すると、①体内に放射性物質を取り込まないこと ②取り込んでしまった放射性物質を蓄積させないこと、そして早く排出させること ③取り込まれた放射性物質を出来るだけ細胞に作用させないこと ④発生する活性酸素を打ち消すこと ⑤DNAが損傷された場合に、それを修復させる事 ⑥細胞が損傷された場合には、それを修復させること。 この6つに分けられます。
それぞれのポイント毎に、するべき対応を解説します。
①体内に放射性物質を取り込まないこと・・・放射性物質に汚染された食品は、できるだけ口にしないことが大切です。シンプルですがそれに尽きます。
②取り込んでしまった放射性物質を蓄積させないこと、そして早く排出させること・・・これは、内部被曝対策の肝になります。どんなに注意していても、体内に取り込む放射性物質を0にすることは不可能です。その前提に立って対応を考える必要があります。
放射性物質を体内に蓄積させないために何よりも大切なのは、普段の食事でミネラルを十分に摂取することです。例えば全身の筋肉に蓄積しやすい放射性セシウムは、平素からカリウムを多く摂って体内に満たしておけば蓄積を軽減することができます。同様に、甲状腺に蓄積しやすい放射性ヨウ素はヨウ素、骨に蓄積しやすいストロンチウムはカルシウムを多く摂ることで蓄積を軽減することができます。ただし、それらのミネラルだけを極端に多く摂れば良いというものではなく、人体に必要なミネラルをバランス良く、そして多めに摂ることが大切です。
人間に必要なミネラルをバランス良く摂るためには、まめ・ごま・わかめ・やさい・さかな・しいたけ(キノコ)・いもを中心とした和食(まごわやさしい食)が有効です。これらはミネラルだけでなく、ビタミン・アミノ酸も豊富に含んでおり、次に説明する細胞やDNAの損傷を回復させるのにも役立ちます。
この他に、柑橘類は放射性物質を吸着して排出させる成分を含んでいます。玄米はそれ自体で完全食であるといわれている通り、ミネラル・ビタミンを多く含んでいますし、活性酸素を除去するγオリザノールを含んでいます。さらに、放射性物質を吸着して体外へ排出させるフィチンという成分も含んでいます。
食事に注意することで、放射性物質が体内に取り込まれるのを防げるし、取り込まれた放射性物質を早く体外に排出させることができるのです。
つづく