世界には、自ずと放射線レベルが高い地域があります。テレビなどでは、それと日本各地の放射線レベルを比較して、この程度であれば安心だとの報道がなされます。元々レベルが高いところに住んでいる人がなんでもないんだから、こっちでも大丈夫だろうということでしょう。
確かに数字だけみればその通りです。ただ、実際には単純に数字だけでみてはいけない条件があることをご存知でしょうか?
条件として、遺伝子の違いがあります。何世代にもわたって、自然放射線が高いレベルに住んでいる人には、遺伝子レベルで細胞の修復を高める機能が備わっていて、自然放射線から体が守られています。それに対して日本では急に放射性物質が降ってきたのですから、当然遺伝子レベルで対応することはできません。すなわち、体は放射線への耐性を持っておらず、ダイレクトに細胞や遺伝子が傷つけられてしまいます。
このことから、自然放射線の高いレベルと、原発事故後の放射性物質による汚染のレベルを、同じ土俵で比べる事はナンセンスだといえると思います。
ラドン温泉など放射性物質を利用した湯治場と比較するのもナンセンスでしょう。なぜなら、温泉で受けるのは外部被曝のみであり、さらにせいぜい数週間という短時間の被曝だからです。低線量を外と内から長く受け続ける原発事故による環境汚染と同じ土俵で論じる事はできないでしょう。
別の自然放射線の話題として、国際線の飛行機は放射線レベルが高いことが知られています。
以前知り合いの医師から、国際線のパイロットは退職後に脳腫瘍にかかる率が高いと聞いた事があります。高度10kmを飛ぶ飛行機には、地表に比べてかなり多くの放射線が降り注いでいます。客室ですら高いのですから、ガラスばりのパイロット席はもっと高いのでしょう。そのため、その部分のガラスには遮蔽するために金が組み込まれてあります。しかし、それでも放射線の影響は防げないのでしょう。
統計があるかないか分かりませんが、元々自然放射線レベルが高い地域出身のパイロットでは発癌率が少ないかもしれません。
一説によると、自然放射線と原発から発せられた科学的な核種からの放射線とでは、体への影響の度合いがそもそも違うということも聞きます。我々は、耐性を持ち合わせていない上、これから長期間に渡って外側と内側から危険な性質の放射線を受けながら生活して行くことになります。余分な被曝は極力減らしていきながら、このブログでも記したような養生をして行くことが必要であると考えております。
~薬剤師 鳥居英勝~