黄斑変性症という目の病気が増えています。見ようとするものがゆがんだり、中心部がぼやけてしまい、視界が狭くなる病気です。原因は、目の中心部にある、直径2mの黄斑部が、老化により機能が低下することにより起こります。これには萎縮型(乾燥型)と滲出型(新生血管型)の2つあります。滲出型における黄斑変性症は、栄養を取り次ぐ網膜色素上皮細胞が老化して、新生血管が発生します。この新生血管はもろいため、すぐに破れて網膜色素細胞の機能をこわしてしまいます。この出血を繰り返すことで視力が大幅に下がり、放置しておくと視力を失うことがあります。乾燥型は、黄斑部網膜が変色する病気です。この原因は、動脈硬化による血流の低下と考えられます。
黄斑変性症に対して、漢方では田七人参を用います。田七人参は、血をサラサラにすることと、血管外へ血がもれることを防ぐという相反する二つの作用を持っています。これにより、出血を抑えながら血液の流れを良くする効果が期待できます。また、乾燥型の場合には血流を良くするために活血剤を併用すると効果的です。※滲出型の場合も、状態によっては活血剤を併せることもあります。
~薬剤師 鳥居英勝~