身体にとって良い油と悪い油があることをご存知でしょうか?
最近テレビCMで『トランス脂肪酸フリー』という言葉を聞くことがありますが、そのトランス脂肪酸は悪い油の代表格。動脈硬化の原因になったり、知能の発達を妨げるなど、身体に様々な弊害を引き起こすことが分かっています。トランス脂肪酸は、パンやクッキーなどを作るのに使われるショートニングや、マーガリンなどに多く含まれています。
欧米各国では10年以上前から、このトランス脂肪酸の危険性を認識して、積極的に摂取制限を図っており、日本でも昨年、厚生労働省が摂取制限に向けた検討会を発足させています。
トランス脂肪酸の他にも、摂取を控え目にした方が良い油に、サラダ油・コーン油・サフラワー油など、ω6系の油が挙げられます。
一方で良い油、即ち積極的に摂取した方が良い油には、シソ油・亜麻仁油などω3系の油、オリーブ油・キャノーラ油などω9系の油があります。シソ油・亜麻仁油は、和え物・ドレッシングなどで生で摂ることが大切です。オリーブ油・キャノーラ油は、炒め物・揚げ物など過熱して調理する場合に適しています。
トランス脂肪酸がなぜ身体に悪いかというと、この油は代謝排泄に非常に時間がかかり、身体に蓄積する特徴があること。血管にたまれば血管は硬くなりますし、大半が脂質で構成されてる脳にたまれば脳の機能と発育に良いはずがありません。また、たまった油は必ず酸化されて活性酸素を発生させます。そうすると周辺の細胞を犯すことになります。その結果、様々な病気が引き起こされることが分かっています。
先ほど控えめにした方が良い油として記したω6系脂肪酸は、本来は身体にとって必要な物質です。大切なのはω3系とω6系のバランス。飽食の今、日本人はω6系脂肪酸を余りにも過剰に摂取しているため、身体に弊害が出てしまっています。ω6系が過剰になると、アレルギー反応が誘発されやすなったり、炎症性の痛みの物質が増えやすくなります。そこで、ω3系の油を積極的に摂ることが必要になっています。
市販のスナック菓子、揚げ物のほとんどは、このω6系脂肪酸を使って調理されています。スナック菓子が世に出始めたのは約30年前から。近年アレルギーの子供が増えている原因の1つかも知れません。
これらのことをご存じなかった方は、今日から油に注意することをお勧めします。毎日の生活で、料理で使う油に注意する(ω3系とω9系の油を使う)、市販のやわらかいパンやスナック菓子を控えることが大切です。
パンを食べるのであれば全粒粉で天然酵母の素朴なパンを食べると良い。子供がそういった素朴な食べ物に食べ慣れて、おいしいと感じる感覚を養うことは1つの食育で、その感覚は、その子供の将来の食生活に良い影響を及ぼし、悪い物を食べず良い物を好んで食べるようになり、結果として知能アップと健康を保つことに繋がると思います。
可能であればパンを排して米を食べるようにすればなお良く、栄養学的にはご飯の方が優れていることが分かっています。また、米の産地であるここ鹿沼市においては、地産地消になって、地元の経済も発展にも繋がるかもしれません。
~薬剤師 鳥居英勝~