下品な話かもしれませんが、用を足すと震えるのはなぜでしょうか?
色々調べたところ、諸説あるようです。
①排便によって体温が下がり、それを上げるために震えるという説。
②排便は気持ちが良い行為であり、その気持ちよさの反射として震えるという説。
③排便によって一時的に脳に血圧が通わなくなって、脳の血圧が下がり、それに対応して血圧を上げるために震えるという説。
それぞれ、なるほどと思う反面、本当かな~と首をひねってしまうような説です。
①の体温を上げるため説については、『立ちしょんべんの時は必ず震える、和式トイレでさしゃがんで用を足すと震えない。それは、座位の時は足腰に力が入っているので、熱を産生し続けているから。』ことから導き出した説のようですが、人によっては座位で用を足しても震えることもあるようなので、この説は当てにならなそう。そもそも、用を足したくらいでは局所的にも全身的にも体温が下がることはないようです。
②の気持ちが良いことの反射説については、どうなんでしょうか。何ともいいようがありません。
③の血圧を上げるため説についても、やはり疑問を抱いてしまいます。座位では震えることが無いということが根拠の1つになっているようですが、先ほども記しましたように座位でも震える人はいることがその根拠を否定してしまっています。男性の方で、立ちしょんべんをした時に頭がクラッとしたことがあるということを聞いたことがあるでしょうか?私も含めて、生まれてこの方そんなことは聞いたことがありません。肯定的に考えてみれば、立って排尿した後に、おしっこが溜まることで妨げられていた膀胱付近の血流が多くなり、そこに血が多く集まって脳に通う血液量が減って、脳の血圧低下、脳貧血状態が起きることは考えられなくもありません。でもな~という感じです。
私は、用を足すと震えるのは、『自律神経または迷走神経などの、神経の働きが関係しているのではないか』と考えています。すなわち、これまでおしっこやうんちが溜まっていた膀胱や直腸から、便が出ると、それらの臓器の形状はドラスティックな変化を受けるはずです。その際に当然自律神経も大きな刺激を受けるでしょう。つまり、膀胱や直腸がパンパンに張った状態から球にしぼんだ状態に変化する。そうすると、内臓の平滑筋は全て自律神経の支配を受けているので、その自律神経が反射的に反応し、交感神経・副交感神経が興奮というか迷走して、震えにつながるではないか。
また、そもそも排便という行為は副交感神経の支配を受けているので、おしっこ・うんちのときには副交感神経がガッと興奮した状態になります。そして排便中の後半及び排便直後には、反動で交感神経が急に活発になり、その働きで内臓及びその周囲の筋肉が瞬間的に震えるという現象になるのではないかとも考えられます。
いずれの場合も、内臓だけでなくその周囲の筋肉も、形状の変化や神経伝達の影響で同時に震えることが考えられます。
そういえば、寒い時に体温を上げるためにブルッと震えて鳥肌が立つのも、交感神経の働きによるものです。
この説が正しいかどうか、今度泌尿器科の先生に聞いてみようと思います。
~薬剤師 鳥居英勝~