大正12年建造の我が家に、今日エアコンが入る。建築当初はもちろんエアコンなんてものは存在せず、設置する想定などされていなかった。なので、ひと口にエアコンを入れるといってもそう簡単にはいかない。

まず、設置する場所を決めたら配管を通す場所を考える。外壁(土壁部分)に太い穴を開ける。次に廊下に管を通して、部屋の壁に穴を開ける。そしていよいよ部屋にエアコンを設置する。リフォームならともかく、古い家に穴を開けるのはかなり気が引ける。

それだけでは済まず、更に室外機を設置する場所を確保する必要がある。大抵古い日本家屋は、建物と庭の調和がはかられている。今回も室外機を設置したい場所には大きな石が置かれている。それを動かさないといけない。動かす先も、建物と庭、全体の調和を考えて決めなければならない。

これまで、いわゆる日本庭園とは、建物の周りの庭のスペースに、上手に木や池を配置して自然を表現するものかと思っていた。が、それだけではないように思う。

まず、周りの環境があって、その中の敷地があり、その中に建物と庭がある。当たり前のことであるが、周りの環境を無視して造作することは出来ない。さらに、住居であるから生活しやすい建物の大きさ、部屋などの配置を考慮し、合わせて家の周りの飾り、庭の造形を考える。当然、日当たり、方角など、自然環境などを考慮することが基礎となる。

そのように色々考えられて造られた庭の造作に手を入れるのは気が引ける部分もあるが、夏は暑い・冬は寒い部屋の中で過ごす家族の事を考えると、健康を守るためにはいたしかたない。

ところで、庭には、もちのき・もっこく・せっこくを植えると良いらしい。常緑樹であり、庭に常に精気がみなぎるせいだろうか。こう考えると、日本家屋と庭は奥が深い。

今回のことで、40を前にして、日本家屋と庭に興味が湧いてきた。

      ~薬剤師 鳥居英勝~