昨日、日本歯科大学准教授・原先生の講演をきき、色々なことを知ることができました。
テーマは日本人の味覚。要旨を抜粋します。
・日本人は、米粒を主食としているため奥歯の使い方が上手い。奥歯で穀類をすりつぶすように食べることが出来る(パンなどのやわらかいものを噛むときは切るように噛んでいる)。そして、すりつぶされた食べ物と唾液が舌の奥の脇にたくさん触れ、うまみを感じることができる。東京には世界一多くの国のレストランがあり経営が成り立っているが、それは日本人が味覚を感じる力が高いためである。
・正しく噛むためには正しい姿勢が大切。椅子に座ったら足は地に着け、出来れば指で床をつかむようにする。背筋を伸ばす。背もたれに寄りかからない。頭はやや前加減で、顎は首のやや前に出る位置に(食器を手で持って食べることがそのためには必要)。足が地に着いたほうが良いのはその方が力が入るため。正座でも良い。
・やわらかいものでもよいので、とにかく何度も噛むことが大切。子供の頃から硬い物をバシバシ食べさせるのはすすめられない。奥歯が摩り減ったり、筋肉が硬くなって頭痛や肩こりにつながる。
・こってりしてうまいと感じるのは、脂肪・糖分・アミノ酸によるもの。牛丼はこの条件を満たす。ある意味習慣性(中毒)のようになってしまう。
・ミライ(舌の味を感じるみらい器官)は、成人で1000~2000個。胎児と乳幼児では10000個もあり、舌だけでなく外皮にまで存在している。胎児は母体の中で羊水を味わっている。その味の多くはアミノ酸でうまみである。胎児はうまみを感じている。
※妊娠中に甘い物を沢山食べていた母親の子供は、糖尿病になる確立が高いという論文を読んだことがある。その原因の1つには、胎児のときの味覚が関係しているのではないだろうか。羊水の糖度が高ければ、甘いという味覚を強く受けていたがために産まれた後にもその味を欲しがり多く食べてしまう。その結果、糖尿病になる確率が高くなるのではないかと推測される。
・現在の食育は、栄養素のことばかりいうが、正しい姿勢で正しく噛むことが実は大切である。そうすることが、栄養素を良く吸収できる体内環境を造るのである。
※正しい食事(栄養素)と、正しい食べ方(姿勢と噛み方)の両方が大切であろう。
・ベットや布団に横になったままで食べると、しっかりかめないし嚥下も上手くいかない。状態を起こして、座位でもよいので上記のようにして食べると良い。
~薬剤師 鳥居英勝~