武田鉄也さんが出ている“神経の痛み”のCMをみて、おもうことがあります。
CMの内容は、『神経の痛みはお薬で治ります』というもの。
保険調剤の仕事をしていて、痛みの処方をよくうけます。
使う薬は、痛み止め・筋肉をほぐす薬・そして最近では上にあげた神経の働きをにぶらせる薬・血流改善剤。
ここで気になるのは、血流改善剤以外はほとんど全ての薬剤で副作用に“眠気・めまい”があること。こわいものだと“気を失う”リスクがあるものもあります。
これは、簡単にいうと中枢神経抑制作用(脳の働きを抑えること)によるもの。すなわち、これらの薬剤は、痛みを治すのではなくて中枢的及び局所的に抑えているだけ。脳を含めて全身的に抑制することは、自然な治癒能力も抑えてしまう。局所的な外用薬も、吸収されれば全身をめぐり、ひいては脳の働きをおさえたり、肝臓や腎臓に負担を掛けることになる。
決して、そのような治療を否定はしない。痛いときに、特に急性期にそれを止めてあげることは大切なこと。ただ、それはあくまでも抑えているのであって治しているのではないということを知っておく必要がある。特に、痛みが長く続き、慢性的にこのような治療を続けることは、脳の機能・内臓の機能を低下させることも心配になるし、何よりも患部が元の状態に戻るのを妨げることにもなりかねないので注意が必要であるということができる。
例えば神経の痛みは、神経の栄養不足(もちろん狭窄が原因の場合もあるが)。この場合、血流を良くして神経に栄養を送ることが大原則。血流を良くするためには温めることが大切。このことが治すことに繋がる。
ここでは痛みについて取り上げたが、ほぼ全ての疾病において、“治す”のではなく“抑える”治療が行われているといっても過言ではない。
我々は、抑えるのではなく“治す”ことの大切さを知って頂きたい。そして、本当の意味で治ること(体の自然治癒力を高める・体のトラブルを元の状態に戻し、機能を回復させ、正常な行動ができるようにすること)のために、漢方薬・養生製剤・鍼灸治療・生活療法をご提案させて頂きたいと考えております。そして、本当に元気で長生きで楽しい生活が送れるようお力になりたいと考えております。
~薬剤師 鳥居英勝~