先日の亀の甲羅に続き、ちょっとおもしろい補腎の小薬をご紹介します。

生物由来の補腎剤としてよく知られたものに、鹿の角があります。鹿の角は『鹿茸(ろくじょう)』と呼ばれ、補腎陽剤として用いられます。補腎の漢方薬はもちろんのこと、精力剤など強壮をうたった栄養剤にも広く使われているので、ご存知の方も多いかもしれません。

この鹿茸は、焼酎につけて何年も置いておくと結構な強壮酒ができあがります。もしかすると、マムシ酒やスズメバチ酒よりも強力かも。

そういえば昔裕福な家には、壁から鹿の首が突き出ていたり、玄関に巨大な海亀が丸ごと飾ってあったのを覚えています。それらの角や甲羅は薬としての価値があるのでしょうか?・・・

残念ながらないようです。生薬の原料となる鹿の角は『角化する前の幼角』で、亀板は『主にクサガメの甲羅』を原料としています。

~薬剤師 鳥居英勝~