『ガマの油にはカエルが入ってるの?』。カエルが大好きな息子から聞かれ、『入ってないよ』と即答してしまった。

山頂のおみやげ屋で買ったカエルの置物を握りしめながらおばあちゃんとお話している。きっと筑波山神社でみたガマの油売りの口上のことを話していたんだろうな~。

忙しかったとはいえ、こどもの純真な好奇心を潰してしまったと反省。名前の起源を調べてみた。

ガマの油といえば、なんといっても筑波山。筑波山神社境内での口上が有名。この薬の歴史は旧く、少なくとも大阪の陣のころには傷薬として使われていたらしい。

ガマと名がつく理由は諸説あり、『この薬を世に知らしめた光誉上人の顔がガマガエルに似ていたから』、『ガマという植物の花粉が使われていたから』などが有力。どうやらカエルの油が使われていたからではないという見方が強いらしいことが判明。

ただ、戦前は実際に『センソ』というカエルの分泌液由来の生薬が配合されていた時期があったことは事実。その時分のガマの油は相当強力だったろうなと思う。☆センソ:解毒・消腫・止痛作用があり、外用薬として使用される。内服として強心剤としても使われるが、毒性があるので服用量に注意する必要がある☆

さて、今売られているガマの油はというと、紫根・ワセリン・スクワラン・尿素・薄荷が成分。傷を止血・保護して治すという優しい構成で、センソは入っていない。

大好きなカエルが入ってないと知って、息子は喜ぶんだろうか、がっかりするんだろうか・・・。きっと安心するんじゃないかな~と、心優しく育ってほしいと願う私は思う。

~薬剤師 鳥居英勝~