本格的に花粉が飛ぶ時期が近づいてきました。薬とマスクはもちろんですが、鼻うがいと眼洗いも症状を軽く済ませるのにかなり役立ちますので、毎年辛い思いをされる方は用意しておくと良いと思います。
さて、『花粉-食物アレルギー症候群』という花粉症に関係する食物アレルギーがあります。花粉症の時期に、ものを食べた後に口や耳の奥が痒くなったことがある方は是非最後までお読みください。
花粉-食物アレルギー症候群は、ある花粉に敏感になっているときに、その花粉の原因となっているたんぱく質と似た構造のたんぱく質を有する果物や野菜を食べた際にアレルギー症状を生じる疾患です。
食物を食べた直後から数分後に、口唇・口腔粘膜・上あご・喉・耳の奥などにかゆみや刺激感・紅斑喉などがあらわれるのが主な症状です。
ほとんどの場合症状は軽くアナフィラキシーを含めた全身症状は伴いませんが、一気に多量の原因物質を摂取した場合や加熱処理が不十分だった場合に全身症状が現れることがあります。
この原因となるたんぱく質は熱に不安定で消化されやすいことが多く、加熱処理をすれば多くの方が原因食物を摂取できるようになるようです。
特に症状がなければ特定の食品を避ける必要はありませんが、何か生の果物等を食べて気になる症状が出るようであれば、調理を工夫したり受診時に相談してみてもよいかもしれません。
◎花粉-食物アレルギーに関連する原因花粉の種類と食物
〇カバノキ科(ハンノキ・シラカンバ):バラ科(リンゴ・ナシ・サクランボ・モモ・イチゴ)、キウイ、オレンジ、メロン、ジャガイモ、ニンジン、ダイズ(主に豆乳)、ヘーゼルナッツ
〇ヒノキ科(スギ・ヒノキ):トマト
〇イネ科(オオアワガエリ・カモガヤ):スイカ、メロン、トマト、ジャガイモ、タマネギ、キウイ、オレンジ
〇キク科(ブタクサ):スイカ、メロン、キュウリ、ズッキーニ、バナナ
~薬剤師 鳥居英勝~