インフルエンザ治療薬について、厚生労働省より以下の通知がありました。

・10歳代に対してはタミフルの使用を原則禁止する

これは、タミフル服用後に異常行動をとる患者が多発したためです。

9歳以下に対してはこれまで通り使用が認められています。これは、この世代ではインフルエンザ感染時のインフルエンザ脳症の発症率が高いために、タミフルを使用して少しでも早くインフルエンザを抑えることが大切と判断されたためです。
ただ、この世代でもタミフル服用後の異常行動のリスクがないわけではありません。看護に当たる方は、服用後2時間は特に、また服用から2日間は患者さんから目を離さないことが大切です。その際には、インフルエンザが染らないように注意してくださいね。

また、20歳以上でも、タミフル服用後の異常行動の症例はあります。この世代でも注意は必要です。

今回、このように『9歳以下は服用可』『10歳代は服用不可』『20歳以上は服用可』となった背景には、“インフルエンザウィルスを抑えることとインフルエンザ脳症が発現するリスクの問題”と、“異常行動が起きた場合に、その行動を抑えきれるかどうか”
があるようです。

ちなみに小児科の先生の中には、“10歳以上でも子供のうちはインフルエンザ脳症が起きる可能性はある。その世代にもできれば使いたい”と考えている先生もいらっしゃります。

安全で有効な使用のために、一日も早く“タミフル服用と異常行動の関係”が医学的に解明されることが望まれています。
また、代替薬として吸入式の“リレンザ”や内服薬の“シンメトレル”という薬もインフルエンザウィルスを抑える薬として認可されています。患者さんのコンプライアンスやインフルエンザの型に応じて、これらの薬を使ってウィルスの増殖を抑えることも、適宜取られていくことと思います。

       ~薬剤師 鳥居英勝~