七物降下湯は、マイルドな降圧剤としてよく知られている方剤です。
また、この方剤は“補血+補気+治風”薬の配合とみることもでき、内風によるめまいにも効果があると考えられます。
今回、めまいに対して著しい改善がみられた一例を紹介します。
77才 女性 出産歴なし
併用薬:降圧剤(服用により正常血圧を保っている)
病歴:なし
2006.12.23
初見
主訴:めまい。半年前から発現。日常立ち仕事をしている時に、クラッと頭が回る感じがする。○○医科大学付属病院より、メリスロン・アデホスコーワが処方がされ3カ月服用するが、改善しない。目の乾きが気になる。
食欲:正常、二便:正常、舌質:痩・紅、舌苔:正常、脈象:細数。
睡眠:浅い。時にイライラする。
バリバリ精力的に仕事をこなすタイプ。
弁証:肝腎陰虚、虚火内生、陰虚生風
治法:補肝腎陰、以治風制火
方剤:こ菊地黄丸(エキス剤1日3包・1日3回)+レバコール
2007.3.12
前回処方薬を服用して3カ月が経過する。めまいの頻度が減少し、目の乾きも消失した。しかし狭い所に入ったり階段を昇降した時に足元がふらつくことがある。食欲正常。二便正常。睡眠は5時間位。その間は良く眠れている。疲れを感じることがあるが、周りからは良く動くねといわれる。大事な仕事が控えており、めまいが出ることに不安を感じている。
弁証:血虚生風・風揺上目
治法:滋陰養血、以治風
方剤:こ菊地黄丸合七物降下湯(エキス剤各1日2包・1日2回)
解説:18・12から比べて、症状は改善されている。今後引き続きこ菊地黄丸で肝腎陰を補い、七物降下湯で血気を補いかつ内風をおさえる。
2007.3.29
現在、めまいはほとんど消失した。元気に過ごしている