葉酸はビタミンB群に大別される水溶性ビタミンで、食品では緑黄色野菜やレバーに多く含有されており、生体内ではDNAやアミノ酸の合成に働くといわれるほか、動脈硬化の危険因子とされる血清ホモシステインの増加を抑制するなどといわれています。
葉酸が妊婦にとって非常に重要な栄養素であるといわれる背景には、胎児の先天性異常である『神経管閉鎖障害』(先天性の脳や脊髄の癒合不全を指す。具体的には二分脊椎、脳りゅう、脊髄りゅう、無脳症などがある)の発症リスク低減に有効であると明らかにされていることによります。
これにより欧米では1900年代から、日本でも2000年に『葉酸摂取による神経管閉鎖障害の発症リスク低減化』について勧告を出し、妊娠を計画している女性に対して、妊娠1カ月前から妊娠判明後3カ月の間、通常の食事から摂取できる葉酸0.2μgに加え、栄養補助食品から1日0.4μgの摂取を勧めており、母子健康手帳には葉酸摂取の必要性が記載されています。また、厚生労働省もサプリメントでの摂取を勧めています。
葉酸は妊婦の9割近くが不足しているとのデータもあります。安心して妊娠時期を過ごすためにも葉酸を積極的に摂取すると良いでしょう。
~薬剤師 鳥居英勝~