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新年度です。薬局でも4月1日は、診療報酬改正と消費税率変更が重なったためそれらの対応が大変でしたが、何とかスムーズにスタートすることが出来ました。

年度替わりの今頃は、子供にとっても大人にとっても、期待もある反面で不安も入り混じる精神的にデリケートな時期だと思います。入学や就職、クラス替えや部署の移動など、環境面・対人面で色々なストレスを感じている方も多いのではないでしょうか?

大人であれば、酒を飲んだりおいしいものを食べたりして、何とかストレスをコントロールすることができるかも知れませんが、子供はなかなか自分で処理することができません。

もしお子様に、チック・夜泣き・不眠・どもりなど、普段と違う行動が見られたら、是非身体をマッサージしてあげてください。やり方にこだわる必要はありません。手のひらで、頭から足までゆっくり撫でてあげるだけで十分です。あたたかいぬくもりと愛情が何よりの薬です。きっと夜は安心してグッスリ眠れるはずです。~温かさとマッサージの刺激で、副交感神経が優位になって心と身体がリラックスする効果が得られます。とてもつらそうな場合には小児鍼がとても効果的です。~

~薬剤師 鳥居英勝~

昨日このブログで、『五行の概念からすると、春は怒りっぽくなりやすい季節である』ことをご紹介しました。五行では、感情の他にも五臓六腑、色、体の部位、味などを季節と関連づけています。それに従って、春について身体に関わるところをもう少し詳しくみていくと・・・

『春は肝胆・青・筋・爪・眼・酸などと関係が深い』ということができます。

これによれば、『春は筋成長し、爪がのび、眼の働きが良くなるのにいい季節である。ただしこの時期に養生を怠ると、それらのトラブルを起こしやすい。』ということになります。

この時期の養生法としては、第一に『血を養う』ことが大事になります。※肝は血を蔵する器官であり、血を十分に宿すことができれば、筋肉・爪・眼にたっぷり栄養が届き、それらが順調に成長するとの考えから。

また、春の五味である『酸』のもの、すなわちすっぱいものを食べることも肝の働きを整え、筋をやわらかくのびやかにするのに役立つといわれています。

☆東洋医学では、整体観念といって、人間を自然界の一部と考え、生命活動や身体の部位を、自然界と関連づけて考えます。五行は、これをわかりやすく整理したものです。これは長い時間をかけて自然現象と生命活動を観察して得られた経験則であり、理解しておくと一年を上手に過ごすのに役立ちます。

~鳥居 英勝~

先日このブログで、東洋医学には五行という概念があって、それに基づいて考えると感情と五臓は関連していることをご紹介しました。実は、『季節』も五行(木火土金水)のどこかに分類されます。

とうことは、季節と五臓と感情は関連している。さらに言えば、『それぞれの季節には感じやすい感情がある』ということができます。具体的には・・・

春=木→肝→怒 夏=火→心→喜、盛夏(夏の真っ盛りから終わり)=土→脾→思、 秋=金→肺→悲、 冬=水→腎→恐。

桜がいつ開花してもおかしくない今は、春真っ盛りです。東洋医学的には、この時期は、生きものは『怒』に注意する必要があります。このところ、何となくイライラしてしまう、ちょっとしたことで怒りが爆発してしまうなど、心当たりがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

人間も自然界の一部であるという整体観念からいえば、春のこの時期に怒りっぽくなることはしょうがないことです。むしろそれを踏まえて、感情を上手にコントロールすることが、春を気持ちよく過ごすためには大切であるといえるでしょう。

☆この時期怒りっぽくなるのは、三寒四温といわれるように天気がめまぐるしく変わり、気圧や温度の変化の激しさが自律神経を乱していることが生理的な一因かもしれません☆

~薬剤師 鳥居英勝~

全国野菜摂取量調査によると、栃木県民の野菜摂取レベルは・・・

男性9位(324g) 女性12位(303g)となっています。

健康な生活を送るには、1日350g以上(内緑黄色野菜が120g)の野菜摂取がすすめられています。意外なことにいろいろな野菜の産地である栃木県でも、野菜不足になっているんですね。

小さい子供でも花粉症を発症する時代です。花粉症、身体のかゆみなど、アレルギー体質に由来する症状が出ていると、集中力も続かず発育上問題が発生しないとも限りません。小さい子供を持つ親として、このような時代に子供に何をしてあげるべきかを改めて考えさせられます。

直接的に手をかけてあげられることとして、私は「食べ物の工夫」があると思います。

アレルギーは体液が酸性に傾くとひどくなり、アルカリ性に傾くと改善するといわれています。一般的に青い野菜やカルシウムは、身体をアルカリ化することが知られています。緑黄色野菜や、カルシウムをはじめとしてミネラルを多く含む海藻などは、液性を整えるのにとても良いでしょう。

逆に、甘すぎるもの、脂もの、牛乳、トランス脂肪酸を含むジャンクフードなどは、身体を酸性に傾けることがわかっています。トランス脂肪酸にいたっては、体内に蓄積し、それ自体が酸化されて動脈硬化の原因になるといわれていますので注意が必要です。

まさに花粉症真っ盛りの今、栃木県民は野菜が足りていないという記事を目にして、改めて食養生の大切さを感じました。

~薬剤師 鳥居英勝~

いよいよ本格的な花粉症シーズンです。くしゃみで目が覚める方も多いのではないでしょうか?

花粉をブロックするグッズとして、まずマスク・花粉症用メガネがあります。ただ、これらは見た目が気になったり化粧がついたりと使いにくことも。

他に、鼻の穴の中にクリーム状のワセリンの様なものを塗って吸着させるものや、電荷を帯びた軟膏を鼻の周りに塗って鼻に入り込もうとする花粉をはじき飛ばすか吸着させて鼻の穴に入り込まなくするものもあります。これも、人によってはベタつくのが気になるとのこと。

そこで、ここ1~2年注目されているのは、二酸化塩素製剤です。二酸化塩素は、インフルエンザなど空気中のウィルスをやっつけることで知られており、胸ポケットにつけたり、部屋置きのスプレーなどの形で商品化されています。

この二酸化塩素には、「酸化還元反応によって花粉を破壊して、無害化する」作用があることがわかっています。胸ポケットに名札のようにつけておくだけで、ある程度顔周辺の花粉をやっつけることができるようです。インフルエンザはピークを過ぎましたが、花粉症の方にとっては花粉症対策としてももうしばらく役に立ちそうです。

~薬剤師 鳥居英勝~

昨日、「低体重児=先天の精不足(腎精不足)→腎虚であり、この場合後天の精を補う必要がある。そのカギは補脾にある。」ことを述べました。実際には、生まれながらに腎虚であり、あわせて脾虚であることもみられます。子供にみられる腎虚・脾虚の特徴は、

腎虚:発育が遅い、脳の発達が悪い、髪や歯の成長が遅いなど

脾虚:手足が細い、消化器系が弱いなど

この場合の対応としては、まず毎日の栄養を充実させることが大切だと思います。脾虚体質ですと、消化器系が弱くて消化吸収が悪いことが考えられますので、バランスよく吸収が良いことに注意する必要があります。冷たいものの取りすぎは良くありません。小さいうちからこのことに注意しておけば、自然と後天の精が養われ、脾も充実してきます。そして、不足している先天の精(腎精)を支えることにつながります。

また、人参を主にした漢方薬は脾を丈夫にします。アミノ酸製剤も直接栄養になるし、身体を充実させるのに役立ちます。これらを上手に取り入れると良いでしょう。

毎日の養生を続けていけば、生まれたときに腎虚と脾虚があっても、自然に順調に成長してくれるはずです。

~薬剤師 鳥居英勝~

低体重児(未熟児)が増えているようです。食糧難の時代ならともかく、飽食といわれるほど栄養状態がいい現代なのにどうしてなのでしょう?

出産の高齢化、若い時代の内外からの冷えによる身体の虚弱、過度なダイエットによる体力の不足などが、原因として考えられるでしょうか?

東洋医学的には、低体重児は先天の精不足と考えます。(先天の精とは、生まれもって両親から授かり、受け継いだもの)。この先天の精は、生まれた後に高めることはできません。

先天の精が不足していることは=腎精が不足している→腎虚であると考えます。※腎虚には、先天の精が不足している場合と、加齢や栄養失調などによって腎が虚してなる場合とがあります。

腎虚体質の特徴としては、白髪になる・髪が抜ける・歯が弱い・腰が弱い・精力が弱いなどがあります。また、腎虚は腎陽虚・腎陰虚などに分類でき、それぞれに特徴的な症状があります。

先天の精は、生まれた後に補うことはできませんが、この場合ほぼ間違いなく腎虚であるので、日々腎を補っていけば体質的に弱いところをカバーできるかもしれません。黒い色の食べ物には、腎を補う働きがあるとされています。例えば黒ゴマ、黒砂糖など。

また、人間の元気(=生命力)は、先天の精+後天の精によって構成されていると考えるので、先天の精が不足している場合、後天の精を補っていくことが丈夫な身体を造り、元気で過ごすためのカギになります。後天の精を補うとは、すなわち良い栄養を十分に摂ること。そのためには、消化器系を司る脾を強くする必要があります。

ここで、感情とのつながりを考えてみます。腎=恐れですので、真っ正直にとらえると、低体重児=怖がり、臆病になりやすいといえてしまいます。生まれたとき小さかった子は、黒いものを食べるよう心掛けると良いかもしれません。

また、脾=思うです。もともと腎が弱くがために身体を強くしよいと思い、脾を補うよう心掛ければ、結果としてよく考える子に育つかもしれません。脾を補うのに良い食べものとして、第一に山芋があげられます。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

丁度今、ソチパラリンピックの最中です。「スポーツ選手にとって適度な緊張は必要ですが、過度な緊張は思い通りに身体を動かすことを妨げるのでいけない」と、名前は忘れましたが有力な選手がコメントしていました。

20年前になりますが、中国の広西チワン族自治区に行ったときに、ものすごく良いとされる生薬の栄養剤をみつけました。商品名は「百年楽」。その頃開催されていたオリンピックの板飛び込みで金メダルをとった中国人選手がそれを飲んでいたとのことで、地元ではすごく評判だったのを覚えています。

日本では考えられないことなのですが、企業秘密なのかその薬が何で出来ているかは一切説明書に書かれておらず、どんな生薬がはいっていたかは不明。ただ香り・味などから大体の傾向は察しがつくもので、おそらく補気補血、寧心安神の方剤だと考えています。わかりやすくいえば体力増強と気持ちの安定の栄養剤。

百年楽は日本では手に入らないので、同じ働きを得られるお薬が日本にないか考えてみます。補気補血の代表生薬は人参、寧心安神で知られる生薬はエゾウゴキや遠志。

まさにそれらの生薬がばっちり入った栄養剤があります。それはワクナガ製薬の「エナックロイヤル 1本¥1、020円税込み」。スポーツをする方は、これを大事な試合の前に1本飲むと、心も身体も整って良い動きが出来るかも知れません。

ちなみに、イチロー選手はCMにも出ているユンケルを、試合の1時間前に服用することをルーチンワークにしているようです。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

昨日は夜泣きの対応について述べましたが、それに続けて『あがり』について考えてみます。『人前で話すときにあがってしまう』や『大事なときにあがって緊張しすぎてしまう』などが、悩みとまではなっていなくても何とかしたいと思っている方は結構多く、当店でもたまに相談をお受けします。

あがることへの対応として、漢方的には証に合せて肝を通したり、心を整えたり、それと合せて脾や腎を補ったりということが基本の対応になると考えています。それとは別に、感情で何とかコントロールする方法はないでしょうか?

私は、『あがること=考えて恐れてしまうこと』といえると思います。そういえば以前読んだ本に、『不安を感じる前に動け!』と書いてあって、なるほどと思ったことがあります。確か、アラブの商人の伝記だったと記憶しています。

とはいっても、感情はそう単純なものではありません。準備の段階から色々考えているうちに、不安になって、それが過ぎるとあがりになる。

ここで気付いたことがあります。あがりのメカニズムが、考え(思う)て不安(恐れ)になることであれば、それらと関わる臓腑すなわち“思う=脾、恐れ=腎”を強めれば何とかなるのではないでしょうか?

大事なことを前にして、無心でいるなんて凡人にはできません。よっぽど場慣れしていたり、達観していない限り無理でしょう。そのような境地に至るまでの支えとして、日頃から大事なときにそなえて脾と腎を強くしておくと良いと考えられます。

脾・腎を補う漢方の方剤は、日本にも何種類かあります。また、漢方以外の基礎薬といわれるものも、脾と腎を強める支えになるでしょう。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

東洋医学では、臓腑と感情を関連づけて考えます。具体的には、『肝=怒 心=喜 脾=思 肺=悲 腎=恐』。このようになっています。

唐突ですが、子どもの夜泣きが寝る前の感情によってコントロールできないか考えてみたいと思います。

疳の虫などといいますが、こどもが夜中にキーキーするのは、ざっくりいえば臓腑では『肝=怒』が強く関わっていると考えるのが一般的です。ただ、場合によっては『肺=悲』や『腎=恐』が原因になっている場合もあるでしょう。

東洋医学で、五行という考え方があります。五臓は、相生・相克・相乗・相侮関係などによって密接に関連しあっているというものです。

五行で考えた場合、私は『心=喜』が夜泣きの解決に役立つのではと考えてます。というのも、肝と心は相生関係にあり、腎と心は相侮の関係にあり、肺と心は相克の関係にあります。

理論的には、喜べば肝が通って落ち着く、喜べば恐れが和らぐ、喜べば悲しみが落ち着く、ということになります。ちょっと強引ですが・・・。

そこで、夜泣きが気になる場合には、寝る前に5分でも10分でも良いのでちょっとくすぐったい位に身体をマッサージしてみてはどうでしょうか?

くすぐったければ必ずこどもは“喜”びます。そもそも夜泣きの主な原因は『日中の感情』にあると考えられます。東洋医学の理論で考えれば、喜という感情が夜泣きの原因になる邪魔な感情を上手く捌いてくれて、夜中の落ち着きが保てるかも知れません。

ただ、喜ばせすぎると他の臓腑に負担を掛けて逆効果になりうるし、そもそも興奮して眠れなくなってしまうので、適当にするのが良いと思います。お母さんやお父さんのあったかい手でマッサージしてあげると、きっと安心して寝つきも良く、夜中も落ち着いてぐっすり眠ってくれるのではないでしょうか。

☆夜泣きには、小児はりが良く効きます。『はり』というと怖いイメージがありますが、小児はりは刺さない鍼治療ですので全く痛くありません。子どもにとって、とても気持ちがよくて安らぐものです。経絡やツボを刺激することによって自律神経が整うのが効くメカニズムであると考えられます。治療の場合、小児はりでは特殊な専用の器具を使います。

      ~薬剤師 鳥居英勝~