糖尿病の診断で使われている血糖値や食事は運動の影響を受け易く、検査前の一時的な節制や過食でも簡単に数値が変わる。このため、日本糖尿病学会は、過去1~2カ月の平均的な血糖の状態を示す血液検査値「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」の導入を検討する。
現在の診断基準は、空腹時血糖値が血液1dlあたり126mg以上または食後血糖値(ブドウ糖負荷後2時間血糖値)が同200mg以上の場合、糖尿病と診断される。だが、血糖値は検査前数日の食事や運動の影響が強く表れるため、変動が大きい。
HbA1cは、赤血球に含まれるヘモグロビンにブドウ糖が結びついたもので、赤血球の寿命が長いため、過去1~2カ月の血糖状態を把握できる。このため、世界保健機構(WHO)や米国糖尿病学会もHbA1cを診断基準に導入する検討を進めていている。
ただ、ヘモグロビンに異常があると正しい血糖状態が分からなかったり、検査費用が割高になるなどの課題がある。日本糖尿病学会理事長は「血糖値とHbA1cは、長所短所がある。日本にあった新しい診断基準を検討したい」と話す。21・2・20毎日新聞より
~薬剤師 鳥居英勝~