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本日、新しい作用機序の便秘薬が薬価収載されます。作用機序は、腸の中に水を生み出させることで便を出し易くするというもの。臨床試験の段階では、6割の方に効果があったそうです。

ただ、“どのような年代の方”に、“どのような経過をたどった便秘の方”に、“これまでどのような便秘の治療をされてきた方”に、すなわち“どのようなタイプの便秘の方”を対象にして行ったかは不明。便秘のタイプを良く見定めた上で、有効が見込めると考えられる方に使うべきだと思います。1錠あたり105円程度と値段は高めかなとの印象です。

さて、『腸の中に水を生み出させる』ことは、漢方の便秘薬では至極あたりまえの考え方です。例えば『潤腸湯』など、名前からしてその働きが連想される方剤があります。

この他にも、『麻子仁丸』なども腸を潤す便秘薬として知られています。この方剤は、連用しても慣れ難く、高齢な方でも安心して服用できるのでとても便利なお薬です。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

猛暑の後には、咳と肌のトラブルが起き易くなります。それは、夏の暑さで大汗をかいたために津液(水分)が消耗されて、身体が乾いているため。夏の間暑いとすぐにクーラーの部屋に入ってしまい十分に発汗できなかった方も、身体に熱が溜め込まれていてそれが津液を消耗し、乾きによる症状が起きる場合もあります。

このような状態ですと、秋から冬にかけて、肺が弱い方は肺の乾きによる乾咳、皮膚が弱い方は肌乾燥によるカユミが起きやすくなります。

対応としては、何といっても保湿が肝要です。乾咳に対しては加湿器を使って室内の湿度を高く保つ、マスクをして肺を寒冷・乾燥から守ること。カユミに対しては、入浴後速やかにクリームなどを塗って保湿することが大切。

それぞれ、麦門冬湯・滋陰降火湯、当帰飲子などを中心とした潤す漢方薬を服用すると功を奏することが期待できます。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

漢方薬を始めとして、東洋医学に関心をお持ちの方も多いと思います。

東洋医学は、2つの大きな柱から成り立っています。1つは『漢方薬』、もう1つは『鍼灸』で、漢方薬は服薬による『内側からの治療』、鍼灸はハリとお灸による『外側からの治療』ということができます。

これらは、同じ考え方を基礎としてそれぞれ発展を遂げてきたもので、『この2つを上手に組み合わせることで、相乗効果が得られ、より高い治療効果を得る』ことができます。

私共は、お客様のお身体を、薬剤師と鍼灸師がそれぞれ専門の視点で分析し、かつ互いに協議しながら、『必要に応じて漢方薬と鍼灸を融合させて、より高い治療効果が得られるようなご提案と治療』をさせて頂いております。

気になる症状でお悩みの方は、お気軽に鳥居薬局・とりい鍼灸院にご相談下さい。

      ~鳥居薬局・とりい鍼灸院~

先日の健康セミナーは、盛況にて行う事が出来ました。お忙しい中お越しになられた方々、本当にありがとうございました。

さて、捻挫や打撲などの怪我は、予期せずにおこるものです。実は私も昨日、足首の捻挫を起こしてしまいました。腫れと色の変化からすると、腱も何本か切れたようです。理由は高いところからの着地によるもの。子供を抱きながら跳んだために相当な付加がかかったようです。

急な捻挫や打撲などの炎症性症状の場合、初期対応が大切になります。アイシングと湿布によって急性の炎症を鎮めること、安静及び固定、消炎鎮痛剤による内側からの治療などが大切になります。

ここでもう1つ大事な治療があります。それは、漢方薬を服用することオ血や湿をさばくこと。これを合わせることで、ドス黒くかつ腫れている状態は速やかに解消されます。また、これにより炎症が早く引き、痛みも減り、症状の回復が早くなります。

この場合に服用する漢方薬は、活血剤・利湿剤・清熱剤などです。症状に応じて1週間かそれ以上服用することが大事になります。症状の程度にもよりますが、通常の生活を取り戻せるまでの期間は相当早まることが考えられます。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

湿気の多い時期は、寒い時とならんで“痛み”がひどくなりやすい季節です。

この時期の養生法としては、身体を冷やさないことが大切になります。身体を冷やしてしまうと、血流が滞ったり水の代謝が悪くなって、体に“湿”がたまりやすくなります。そしてこの湿が、気血の流れを妨げて、そこに気滞・オ血を生み出し、その結果“痛み”を引き起こします。“不通則通”という漢方の言葉は、まさにこのことを表しています。

これからしばらくの間、“その時期におきやすい痛み”を和らげる漢方薬をご紹介して参りたいと考えております。一回目はぎっくり腰の漢方です。ぎっくり腰と湿気とは無関係ではありません。先ほどの湿→気滞・血オは筋肉の柔軟性を失わせることになるので、湿気の高い時期はぎっくり腰がおきやすいといえます。

ぎっくり腰への対応を考える場合、急性期と緩解期にわけて考える必要があります。急性期の場合、何といっても大切なのは安静。横になるなど楽な姿勢でいることが大事になります。冷シップなどで炎症を取るのも良いでしょう。漢方での対応としては、筋肉の緊張をほぐすこと、血流をよくすること、湿をさばくこと、それと補腎が大切になります。体のバランスを取りながらこれらの治法に沿った漢方を服用することで、非常に回復が早まることが期待できます。鍼灸治療を併用すると治療効果が高まります。

緩解期の対応としては、ほどよく温めることが大切になってきます。冷やしすぎると回復が遅れてしまうので、外用薬を使う場合には血管を拡げて血流を良くするものに切り替える事が必要になります。漢方では、基本的には急性期のケアーと同様の対応が必要になります。再発を防ぐために、血流をよくすることと湿をさばくことをしばらく続けて養生に努めると良いように思います。

当店には、精禍(ドッカツキセトウ加味方)と心竜(ソケイカッケツトウ加味方)という上記のぎっくり腰のケアーに沿った漢方薬があります。ぎっくり腰だけでなく、上半身・腰・下肢の痛みに対して、症と証に合わせて服用すると、非常に効果があります。

次回は、浮腫みを伴う膝などの痛みの漢方をご紹介する予定です。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

ご覧になった方も多いと思いますが、先週末の夜NHKの番組で漢方が取り上げられました。

この中で、抑肝散という漢方薬によって、認知症で起こりっぽい患者さんが服用したところイライラが落ち着いた症例と、表情がこわばって足のふるえが止まらない方が服用したところそれらが和らいだ症例が紹介されました。

抑肝散は柴胡・甘草・当帰・白じゅつ・ぶく苓・釣藤鈎からなる方剤で、平肝そく風・疏肝健脾の効によって、肝欝化風のけいれん・歯ぎしり・いらいら・不眠などを解消することに用いられます。乳幼児のひきつけ・むずがり・夜泣き・歯ぎしりに対して用いられることもあります。

近年は、いらいらや気持の高ぶりを和らげる効果を期待して認知症の患者さんによく使われるようになっています。目的は、認知症の方に多く見られる興奮・イライラを取り除いて、生活の質を高めること。

興奮が落ち着いた結果として、意思表示がしやすくなったり人の話をよく聞けるようになり、表に現れる認知症の症状が和らいだように見えるかもしれません。ただ、脳自体を回復させる薬ではないことを認識しておく必要があります。

また、ふるえに運用する場合には、詳細な弁証が必要です。漢方には、標治と本治という考え方があります。標治とは表面に出ている症状を和らげること、本治とは症状が出るに至った原因を整えること。

抑肝散は、標治にも本治にも働く方剤ですが、運用する場合には詳しい弁証が必要です。また、ふるえにはいろいろなタイプがあるので、全ての方に合うわけではありません。

認知症で服用する場合でもふるえで服用する場合でも、専門家の客観的な判断を受けてから服用することをお勧めします。

 

      ~薬剤師 鳥居英勝~

酒さ皮 ご存知の方も多いと思います。?鼻の頭の血管が太くなって透けて見える状態。丁度、鼻だけがお酒を飲んだときのように赤くみえるのが名前の由来。治り難いことが知られています。

原因は、動脈硬化・高血圧など内的な要因もあれば、ステロイドによる副作用など様々。ーザーで血管を焼いたり、免疫抑制剤を内服したりと治療法も色々ありますが、治るのには根気が要ります。

漢方的には、体内の熱が上に登って(内熱上蒸)、その状態で外から冷やされて(外寒風寒)起きると考えます。さらに、ストレスなどによる気滞血オも原因。治療法は、タイプに合わせた清熱・キョ風寒・活血化オを主体として、全身のバランスを整える事を行うと良いとされています。

また、体内にこもった熱が主な内因になるので、酒・辛い物・脂っこい物・甘い物を控えて、余分な熱を溜めないようにすることも大切です。合わせて外部からの冷えを和らげるため、寒い時期はマスク着用、時間があったら蒸しタオルで鼻を温めるなどの工夫をすると良いでしょう。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

不育症をご存知でしょうか?妊娠後に、流産や死産を繰り返すこと。全国に約140万人いらっしゃるとのこと。昨夜夜9時のNHKニュースでも取り上げられました。

不育症の原因は、子宮の奇形・遺伝子の問題・高リン脂質抗体陽性・血液凝固系の問題(凝固能亢進)など。原因を特定して治療をすれば、85%が克服できることがわかってきたようです。

昨夜のニュースでは、胎盤に血栓ができて赤ちゃんに栄養が通わないために死産を繰り返すタイプの女性が、腹部にヘパリンという血流を良くする薬剤を注射することで良好な妊娠を保っているケースが紹介されました。

先ほど原因に挙げた中で、高リン脂質抗体陽性・血液凝固系の問題については、ともに血流が悪くなることが流産・死産に至る要因となります。そこで、漢方での対応としては、「血栓を生じさせないことと、血流を良くすること」がカギとなります。

血栓を生じさせないために有効なのは、田七人参。この生薬は、血栓を防ぐことが臨床的にわかっており、脳こうそくの予防にも使われています。また、血管内では血液が固まるのを防いで血流を良くし、同時に血管外への出血は抑えるという作用を有しています。

また、血流を良くするのには活血剤を用います。ただし、活血剤には理気剤といって気の流れを良くする生薬が入ったものや、便秘に利く牡丹皮など、上から下へさがる作用をもつ生薬が入ったものが多く、それらの生薬はおなかの中の子供を下に下げる、即ち流産を引き起こす可能性があるといわれており、妊娠中の服用には注意が必要です。体質に合わせて、安全な方剤を選ぶ必要があります。女性の妙薬である当帰芍薬散は、妊娠中のつわりに使うこと子もある漢方薬ですが、血液をやわらかく通す働きがあるので、安全な軽い活血剤として多くの方がお使いになれると思います。

流産・死産予防のためには、妊娠中は、補腎安胎といって、腎を補うことが大切。そうすると、流産しやすい方がおなかの赤ちゃんを保持する支えになります。脾を補うことも同様な作用があるといわれています。

不育症でお悩みの方が漢方で体造りをされる際は、腎や脾が虚していないかを見極め、必要であれば不足を補いながら、田七人参や安全な活血剤を服用することが有効であることが期待できます。

漢方薬は、どんなものであっても体質に合わせて服用することが大切です。主観的に自分の体を判断するのは難しいことで、客観的な判断が必要。気になる方はお気軽にご相談ください。 

      ~薬剤師 鳥居英勝~

カユミでお悩みの方が多くいらっしゃいます。空気が乾いている秋~冬に多いのは乾燥性のカユミ。その場合、お風呂上りにたっぷりクリームを塗って保湿をしたり、当帰飲子という漢方薬を服用して肌を潤わせることで改善することが見込めます。

乾燥性ではなく、決まって夜になるとかゆくなる場合方もいらっしゃいます。皮膚科に通って抗アレルギー剤を服用したり、ステロイドの外用薬を塗ってもその場しのぎでやめたらまた戻ってしまう。このような場合、原因の1つに自律神経の働きが影響していることが考えられます。

日中仕事などで強いストレスにさらされていて交感神経が強く緊張しており、夜に家に帰ってフッと楽になった時にカユミが出る。これは、家でリラックスしたときに副交感神経が反射的にパッと優位になることで説明がつきます。

このような方は、お風呂に入ったときにカユミが増すことが多いようですが、入浴は身体をリラックスさせ副交感神経を高めるし、さらに温まることと皮膚の血流が良くなることでカユミ感覚が増すのも影響しているのでは。

また、夜間には自律神経支配の作用で副腎皮質ホルモンの分泌が減るので、炎症反応が出やすくなるのも一因かも知れません。

ではどうしたらリラックス時のカユミが和らぐのでしょうか?1つに、夜に生じる『交感神経と副交感神経の優位性が緩やかに逆転』すれば緩和されていくかもしれません。

そのためには、日中過度に緊張状態が続くことを避けることが何よりも大切だと思います。そうすることで、交感神経が極度に緊張することを防ぐことが出来るので、その影響で副交感神経も緩やかに立ち上がるようになることが期待できます。そのために、ストレスブロックといって、仕事中1時間に2~3回深呼吸をしたり軽い運動をしたりして、ストレスを短時間で切って行くと良いようです。爪揉みといって、爪の生え際を指圧するのも効果的でしょう。

また、ストレスを和らげる漢方薬や、自律神経を調整する人参の栄養剤を、生活に合わせて服用することも有効と考えられます。

      ~薬剤師 鳥居英勝~

寒くなってきたこともあり、おしっこの悩みのご相談が多くなってきました。

おしっこのトラブルには、頻尿・尿漏れ・排尿困難・残尿感などがあります。男性は尿道が長く前立腺に圧迫されているため、尿が出にくい排尿障害が起こりやすく、女性は尿道が短く筋力が弱いため、尿が漏れる蓄尿障害と細菌の膀胱への侵入による膀胱炎が起こりやすくなります。OTC医薬品は漢方薬が中心で、特別な原因が見出せない尿トラブルに有効です。代表的な漢方薬として、清心蓮子飲・八味地黄丸・猪苓湯・竜胆ンシャ肝湯・小建中湯・五淋散などがあります。

病態を分類すると次のようになります。

1、腹圧性尿失禁(咳やくしゃみなどお腹に力が入ると漏れてしまう)・・・女性に多く、妊娠・出産や加齢、肥満により骨盤底筋(膀胱・膣・尿道を支える筋肉)が弱まるために起こります。・・・治療:β2刺激薬・骨盤底筋補強手術・骨盤底筋体操・膀胱訓練

2、過活動膀胱(突然強い尿意が起こりトイレまで我慢できない。トイレが近い。)・・・様々な原因により膀胱が活動しすぎてしまい、尿があまり溜まっていないのに排尿筋が収縮し頻尿が起こります。・・・治療:平滑筋弛緩薬(女性のみOTCあり)・抗コリン薬・骨盤底筋体操・膀胱訓練

3、膀胱炎などの感染症(強い尿意が起こり、尿の濁りや残尿感、排尿痛が伴う。)・・・膀胱、尿管、尿道、腎盂などに細菌が侵入し炎症を起こすと、膀胱が過敏になり頻尿になります。長時間のトイレの我慢や、ストレスや過労による抵抗力の低下、不衛生などが原因で起こります。・・・治療:抗菌薬・初期であれば漢方薬

4、心因性頻尿(テストの前や仕事中に緊張すると、トイレが近くなる。)・・・残尿感などの他の症状が無く、検査をしても特に異常がない場合は、精神的なストレスや緊張、不安による自律神経の乱れにより頻尿になる事があります。・・・治療:抗不安薬やカウンセリング

5、前立腺肥大症(中高年男性で、尿の勢いが弱い、残尿感、トイレが近い症状がある)・・・男性には前立腺が膀胱のすぐ下にあり、これが肥大することで尿道や膀胱の出口を圧迫して、尿の通りを悪くし、膀胱を刺激します。出し切れない尿が残っているため、残尿感、頻尿の症状が現れます。・・・治療:α遮断薬・抗男性ホルモン薬・前立腺除去手術・漢方薬

いずれの場合も、冷えは禁物。身体を暖かくして冷たいものを控えることが大切。その上で、漢方薬を証に合わせて服用することで気になる症状の改善が期待できます。良くなるまでの過程で、必要であれば尿とりパットを使うなどして精神的な負担を軽くすると功を奏することがあります。

☆骨盤底筋体操:①膣、肛門をお腹に引き込むようにイメージして力を入れる。(座り、立ち、あお向け、よつんばいのいずれかの姿勢でもよい)→②身体に手を当てて、その筋肉が動いていないか確認する→③力を入れて数秒~数十秒数え、力を抜いて少し休み、また力を入れる。※毎日3ケ月以上続ける。

☆膀胱訓練:尿意を我慢する練習を短い時間から始めて、少しずつ時間を延ばしていく。最初は5分くらい我慢し、1~2ヶ月かけて最終的に2~3時間我慢できるようになれば目標達成。訓練と併せて排尿日誌をつけてみましょう。排尿日記には排尿した時間、尿の量(通常200~300ml)などを記載します。

      ~薬剤師 鳥居英勝~