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『卵管障害』卵管の詰まりは、不妊症の原因の一つです。
中医学的には、感染症と子宮内膜症を主たる原因と考えます。

対処法は次のようになります。

①感染症の場合:湿熱をとる
②子宮内膜症の場合:気と血の滞りを改善する
※子宮内膜症の原因は様々です。証にあった治療を施し、必要に応じて周期療法を取り入れると改善率が高まります。

また、排卵期に理気活血を施すことにより、スムーズな排卵を促します。
周期療法を併せて行うことが大切です。

 

      ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『着床障害』せっかく受精卵が子宮に到達しても、着床がうまくいかないと妊娠にはいたりません。

着床障害は、子宮内膜の問題と考えて、中医学的には次の対処法をとります。

①血の流れを良くし、滞りを改善する
②血を補う
③陽を高める

これらは、健康な子宮環境を作るための方法です。
これにより、適度な厚みの温かい子宮内膜が整い、その結果着床しやすい子宮環境になります。

そのような状態は、赤ちゃんにとっても“心地良いベット”のようなもので、妊娠後に赤ちゃんが元気に育つためにも大切です。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『子宮筋腫』は、いわずと知れた女性特有の病気です。外科的手術が必要な場合もあれば、内服薬で対応することもあります。また、特に何の処置もせず経過をみる場合もあります。

中医学的には、次の対処法をとります。

①原因を血の滞り(お血)と考えて、血をめぐらせるために活血化お剤を常に服用する。
※血の滞り(お血)の原因は、気血不足・気滞・痰湿など、色々あります。それを併せて治すことが大切です。
②活血化お剤の服用と併せて、周期療法を行う。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『子宮内膜症』この症状は、着床障害や卵管障害(卵管の詰まり)の原因となることがあります。

この場合、次の対処法を施します。

①卵胞発育期に余分な陰が成長していると考え、陽を高める漢方薬を服用する。
②陽虚が原因でお血が発生するという状態が多い
ので、適宜活血薬も併用する。

まとめると、
『卵胞期と黄体期に陽を補い、月経期に活血する』
ことが大切です。

『月経が始まっても体温が下がらない。または、一度下がってからまた上がる。』ことが、子宮内膜症のサインです。
不妊症につながることもあるので、気になる場合は放置せずに早めに対処することが大切です。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『月経痛』いわゆる生理痛については、『生理痛の中医学的分類』19/4/11にタイプを記してあります。
ここでは、周期療法における生理痛の対処法を記します。

・月経期に活血剤を服用する
※血のめぐりが悪い場合は、常に活血剤が必要になる場合もあります。

これと合わせて、それぞれの周期に必要な漢方薬を合わせて用いることが大切です。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『抗精子抗体陽性』この状態では、受精がうまく進みません。この場合には、次の対処法をとります。

①感染症や炎症が原因の場合→炎症をとり、利尿させ、血のめぐりを良くする。
※場合によっては抗生剤を併用します。

②腎陰虚から陰虚火旺が起きている場合→腎陰を補い、虚熱をとる。

③腎虚と気虚がある場合→腎を高め、気を補う。
※お血がある場合は活血剤を用いる

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『高プロラクチン血症』この状態ですと、卵の発育が低下し、不妊症の原因になる場合があります。

この場合には、次の対処法をとります。

・周期療法に、炒り麦芽や芍薬甘草湯を取り入れる。
※炒り麦芽と芍薬甘草湯には、プロラクチンの分泌を抑える働きがあります。

また、肝欝がある場合、月経前に疏肝理気を用いることでスムーズな月経を促します。

高プロラクチン血症のサインとして、『卵胞期の基礎体温が不安定になりやすい。』ことがあります。
低温期の基礎体温が不安定な場合には注意が必要です。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

『無排卵月経』生理があっても排卵を伴わない状態です。
この場合は、次のような対処法をとります。

①基本的に卵胞期の薬を使う
・・・これによって、元気な卵子が造られるよう促します。
②出血期には月経期の薬を使う
・・・これにより、育った卵子がすっきり排卵されるよう促します。

※卵胞が育っているのに排卵がない場合には、“活血化お”を合わせて施します。
これによって、スムーズな排卵を促します。
体温が一相性で波がある場合には、無排卵の可能性があります。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

すでに“閉経”のところで記してありますが、無月経すなわち『くるべき生理が来ない』状態は、色々なタイプに分類されます。またそれらが複雑に絡み合っている場合も多く見られます。

ここでは、『元気な卵子を育てて生理を回復させる』観点からの漢方療法を記します。

この場合、まず
①『お血』と『痰湿』を考えます。
そして、
②卵胞期に大切な薬を使い、卵胞を育てる方法をとります。
さらに、
③おりものが増えてきたら、補陽活血促排卵を用います。

以上が、周期療法での『無月経』のスタンダードな考え方です。

臨床においては、この考え方のみにとどまらず、合わせて『体の基礎作り』を施すことで、正常な生理が回復する結果が多く見られます。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

排卵誘発剤の使いすぎにより、卵巣が腫れることがあります。これによって現れる症状を卵巣過剰刺激症候群とよびます。
卵巣過剰刺激症候群には次の3つのタイプがあります。

①水湿・痰湿タイプ
この場合、気を補って余分な湿を取り除きます。
②お血タイプ
この場合、血のめぐりを良くして血の滞りを取り除きます。
③気陰不足
この場合、気を高めて陰液を増やすことにより、体のバランスを整えます。

これらの状態では、排卵誘発剤を継続することはお勧めできません。無理に使い続けると、卵巣の過剰刺激による副作用が出たり、卵巣の反応が悪くなりいくら刺激しても排卵しない状態を引き起こしかねません。

この場合、漢方薬により卵巣の状態を整えることが大切です。
その後漢方薬による周期療法と、必要に応じて排卵誘発剤を併用して、体に無理のない排卵を促すと良いでしょう。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~