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排卵誘発剤治療によって、次の症状が出ることがあります。

①基礎体温の高温期が高くなる。
②体重が増える。
③おりものが減る。
④月経量が減る。

①は陰虚火旺による症状です。この場合、一時的に休薬して補腎陰剤を服用すると体のバランスが整います。

③④は子宮内膜が薄くなったサインです。この状態を放っておくと、血虚と血おにより着床しずらくなるのでしかるべき対応をとるべきです。まず。一時的に休薬し、月経期に活血剤、卵胞期に補陰補血を施すとよいです。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

黄体機能不全(黄体ホルモン分泌不足)が起きている時は・・・
①腎の機能を高め、温かな子宮環境を保つ
②気血を補う
方法をとります。
これを『温補腎陽・益気養血』といいます。

周期療法を行う場合、
高温期:腎陽を高めて子宮を温め、子宮内膜をやわらかくする。また、気血を補う。
低温期:腎陰を補って卵胞の発育を助ける。また、血を補う。
方法をとります。
※黄体期の調整でうまくいかないこともあります。その場合、卵胞期に卵胞が十分に発育しなかったことが原因である場合があるので、卵胞期に腎の機能を高め、卵胞の発育と成長を助ける漢方薬を用いると良いのです。
また、ストレスを受けて体温が上下したり、PMSが発現する場合には、理気を施します。

高温期が11日以下と短かったり、体温が上下して安定しない。高温期に入って4~5日目に体温が下がる。高温期の体温が低かったり、低温期の+0.3℃未満などの場合、黄体機能が低下していることがあります。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

排卵障害が起きているときの対処法は・・・
①腎の機能を高める
②気と血のめぐりを改善する
方法をとります。これらを合わせて、『補腎活血促排卵』といいます。
※原因が卵胞の発育不良の場合は、卵胞期から調整する必要があります。

低温期から高温期への体温の移行が、だらだらと階段式に3日以上かかったり、排卵期に強い痛みがある場合は、『排卵障害』が起きている可能性があります。

~国際認定中医師 鳥居英勝~

『生理が数ヶ月ない』ことを、中医学では閉経といいます。
ここでは、加齢により生理が来なくなる“閉経”は含みません。また、数ヶ月に1回生理がくることが正常リズムな方もおられるので、それも区別します。

閉経のタイプは、大きく次の5つに分けられます。
①脾虚型・・・消化吸収や水分の代謝にかかわる臓器が弱っているタイプ
②腎虚型・・・先天的あるいは何らかのストレスにより、身体のエネルギーの源である腎が弱ったタイプ
③血虚型・・・血液が不足したタイプ
④気滞血お型・・・気のめぐりが悪くなり、血が滞ったタイプ
⑤寒湿凝滞型・・・冷えと余分な水分が身体の中に溜まっているタイプ

それぞれの特徴的な症状は・・・
①食欲がない、お腹が張る、便がゆるい、食べても味を感じにくい、顔色が黄色く白っぽい、気持ちも身体も疲れている、手足が冷える、むくみがある、どきどきする
②初潮が来るべきときに来ない、初潮が来ても量が少なく次第に無月経になる、眩暈、耳鳴り、腰がだるく足に力が入らない、頻尿
③顔色が萎えた黄色、めまい、どきどきする、不眠、大便が乾燥 
ひどくなると:両頬が赤くなる、手のひらと足の裏があつくなる、寝汗、どきどきして眠れない、皮膚が乾燥する、血の混ざる咳が出る、咳が止まらない、唇が紅くなる
④いらいらして怒りっぽい、憂鬱、下腹部に脹痛があって押すと痛い、胸が詰まる感じで脇の方が痛む、
⑤下腹部が冷えて痛む、胸が苦しい、身体と手足が冷える、便が緩い、顔色は青白い、気持ち悪い、白い下り物がたくさん出る

舌の状態は・・・
①淡い、白くて厚い苔がある
②淡い、苔が薄い
③淡い、苔がない
④舌のふちに黒い斑点がある
⑤暗い、白くて厚い苔がある

脈の状態は・・・
①緩弱
②沈細
③細緩ひどくなると細数
④沈弦
⑤沈緊あるいは濡緩

治療方針は・・・
①補脾益気・養血調経・・・消化吸収に関わる臓腑を元気にして、血を増やし血の巡りを整える
②補腎気・調衝任・・・腎を元気にし、血のめぐりを整える
③補血・・・血を補う
④行気活血・去お通経・・・気と血のめぐりをよくして、血の滞りをなくし、血の通りをよくする
⑤温経散寒・和血凝滞(寒に傾く時)・・・血を温め、滞りをなくす。
燥湿化濁・理気行滞(湿に傾く時)・・・湿気をとり、気のめぐりをよくする。

方剤は・・・
①参苓白じゅつ散加当帰川きゅう
②固陰煎加牛膝当帰
③小営煎
④膈下逐お湯
⑤温経湯(寒に傾く時)、丹渓治湿痰方(湿に傾く時)

『数ヶ月生理が来ない状態』。元々そういう体質でない限りこの状態は正常ではありません。放っておくと、不妊症や更年期症状が強く出ることにつながることもあります。漢方薬を上手に使い、必要な場合は『漢方薬による周期療法』も取り入れて、正常なリズムを取り戻すと良いでしょう。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝 ~

生理痛で悩む女性は多いようです。
中医学では、生理痛を次の4つの形に分類しています。
①気滞血お型・・・ストレスが主な原因
②寒湿凝滞型・・・冷えが主な原因
③気血両虚型・・・栄養不足が主な原因
④肝腎陰虚型・・・元々の体質と、ストレスが主な原因

それぞれの特徴は・・・
痛みの程度
①生理前や生理中に下腹部に脹痛があって、押すと痛い。
②生理前や生理中に下腹部に冷痛があって、温めると痛みは軽減する。
③生理中や生理後に下腹部に連綿とした痛みがあって、押すと楽になる。
④生理後に下腹部が痛む。

経血
①量は少ない。色は紫暗。血の塊が混じることがある。
②量は少ない。色は暗い。血の塊が混じるか、黒豆の煮汁のような感じ。
③量は少ない。色は淡い。性状は希薄。
④量は少ない。色は淡い。性状は希薄。

舌の状態
①色は紫暗で、黒っぽい斑点があることがある。
②色は黒っぽい。白くて厚い苔がある。
③質感は淡い。薄く苔がはっている。
④質感は淡い。薄く苔がはっている。


①弦渋有力。
②沈緊。
③細弱
④沈弦細

その他の特徴
①胸が張って痛い。
③顔色は蒼白。精神倦怠。
④腰がだるく足に脱力感。眩暈耳鳴り。顔色が暗い。

治療方針は・・・
①行気活血・去お止痛・・・気と血のめぐりをよくする
②温経去湿・活血止痛・・・血を温めて、余分な水分をとる。同時に血のめぐりをよくする
③補気養血・和中止痛・・・気と血を増やす
④調補肝腎・・・肝と腎の陰を補い、からだのバランスを整える

使用する方剤は・・・
①八物湯
②少腹逐お湯加蒼じゅつ・ぶく苓
③黄ぎ建中湯加党参・当帰
④調肝煎             など

最近の若い女性をみると、寒い時期でも短いスカートをはいていたり、朝食を摂らなかったり、また仕事でのストレスなど、身体に負担のかかる生活を送っている方が多いようです。このような生活スタイルが続くと、生理痛だけではなく、生理不順・子宮内膜症・子宮筋腫・不妊症など、もっと深刻な症状に発展する心配があります。
生理痛があってもなくても、また生理痛がある場合どのタイプの生理痛であっても、『ストレスをためない、身体を冷やさない、バランスの取れた栄養を摂る』ことが大切です。
毎日の生活の中で注意すると良いでしょう。

       ~国際認定中医師 鳥居英勝~

 

大豆に含まれるゲニスチンという成分に、『卵子に到達しようとする精子の衰弱を早める』作用があることが、ロンドン大学フレーザー教授によって発表されました。

大豆は、良質なたんぱく質を多く含み、ミネラルを豊富に含む食品であり、日本においては食材や調味料として多く消費されています。
今回の発表が、『大豆=不妊につながる』と決め付けるのは時期尚早と思います。
どれだけの量を、どのように調理された形で、どれだけの期間摂取した場合に精子の衰弱が早まるのが、今後の研究結果を確認したいところです。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

葉酸はビタミンB群に大別される水溶性ビタミンで、食品では緑黄色野菜やレバーに多く含有されており、生体内ではDNAやアミノ酸の合成に働くといわれるほか、動脈硬化の危険因子とされる血清ホモシステインの増加を抑制するなどといわれています。

葉酸が妊婦にとって非常に重要な栄養素であるといわれる背景には、胎児の先天性異常である『神経管閉鎖障害』(先天性の脳や脊髄の癒合不全を指す。具体的には二分脊椎、脳りゅう、脊髄りゅう、無脳症などがある)の発症リスク低減に有効であると明らかにされていることによります。

これにより欧米では1900年代から、日本でも2000年に『葉酸摂取による神経管閉鎖障害の発症リスク低減化』について勧告を出し、妊娠を計画している女性に対して、妊娠1カ月前から妊娠判明後3カ月の間、通常の食事から摂取できる葉酸0.2μgに加え、栄養補助食品から1日0.4μgの摂取を勧めており、母子健康手帳には葉酸摂取の必要性が記載されています。また、厚生労働省もサプリメントでの摂取を勧めています。

葉酸は妊婦の9割近くが不足しているとのデータもあります。安心して妊娠時期を過ごすためにも葉酸を積極的に摂取すると良いでしょう。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

“熱い風呂”“喫煙”“タイトな下着”は元気な精子造りにはよくないようです。

受精能力の問題をかかえている男性において、熱い風呂を数ヶ月間止めた後、精子数が約4.9倍に跳ね上がり、精子の運動性も12%から34%増加していたとの報告があります。
この研究結果は、精子への“オーバーヒート”を避けるべきであるという近年の流れを支持するものです。

同じように、様々な研究で喫煙・下着の締め付けも元気な精子造りにはよくないとの結果が出ています。

不妊症治療に取り組んでいる方は、頭に入れておくとよいかも知れません。
    
    ~予防医学ニュース 2007・3号より~

トランス型脂肪酸は、心臓病・糖尿病・アルツハイマー病の主要要因のひとつです。
近頃の研究で、“トランス型脂肪酸の摂取が不妊と顕著に相関”することが明らかになりました。

トランス型脂肪酸を多く摂取した人は、そうでない人に比べて妊娠率が低下します。
また、妊娠後の胎児へのトランス脂肪酸の影響にも注意しなければなりません。胎児は母親の摂取したものを直接吸収するということだけでなく、体も非常に小さいので、大人よりもはるかに多くの影響を受けてしまいます。

妊娠にあたっては、妊娠前からの体造りと妊娠中の母体と胎児への影響を考えた栄養管理が必須です。
妊娠していなくても妊娠可能な全ての女性は、普段からトランス脂肪酸の摂取は避けるようにしなければなりません。

妊娠したくて色々試みてもうまくいかない方は、食生活から整える必要があるかも知れません。

       ~薬剤師 鳥居英勝~

American Journal of Clinical Nutrition(2007/2)において、次の発表がありました。
『妊娠期間最後の4週間にアレルギー性食品やオメガ6系多価不飽和脂肪酸の豊富な食品を摂った場合、子供のアレルギー性疾患の危険度が増加する。
また、オメガ3系多価不飽和脂肪酸の豊富な食品を摂取すると危険度が減少する。』

当然のことながら妊娠中の食事は胎児に大きな影響を与えますが、この研究では『妊娠中の食事が、生まれた子供のアレルギーの発現に大きく影響する』ことが
示されています。

“医薬品の胎児への影響”を気にするのと同じくらい“毎日の食事の胎児への影響”を考えることは大切なようです。

危険度を増加させる食品:マーガリン・植物性油・揚げ物油・柑橘類・生カラーピーマン・セロリ
危険度を減少させる食品:魚・食性抗酸化栄養素

       ~薬剤師 鳥居英勝~